
空き家の売却は何から始めるべき?流れと必要な手続きを解説
空き家の売却を考え始めたとき、「何から手をつければよいのか」「手続きの流れがわからない」という不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。本記事では、空き家を売却したい方に向けて、売却準備から決済・引き渡し、さらに売却後の税務手続きまで、流れを順を追って分かりやすく解説いたします。「安心して空き家を売却したい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

売却準備の基本ステップ
まずは、空き家を売り出す前の土台づくりが大切です。ここでは、法的手続きの進行状況や売却後の見通しに関わる大切な部分をおさえておきましょう。
| 準備項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 名義変更(相続登記) | 相続により引き継いだ空き家の所有者名義を法務局で変更します。 | 2024年4月より義務化され、3年以内に手続きをしない場合、過料対象となりますので注意が必要です。 |
| 査定依頼と媒介契約 | 複数の信頼できる不動産会社から査定を受け、適正価格を見極めた上で媒介契約を締結します。 | 机上査定と訪問査定を使い分け、対応力や実績もしっかり確認しましょう。 |
| 準備書類と価格設定 | 売却のための必要書類を整え、売出価格を不動産会社と相談して決めます。 | 周辺の成約事例や築年数から適切な価格帯を設定しましょう。 |
まず一歩目として、「相続登記」は必ず行っておくべき手続きです。相続後に長年名義変更を放置すると、売却そのものができなくなりかねませんので、法改正の趣旨も理解しながら、速やかに対応しましょう。
次に、不動産会社への査定依頼は複数社に行うことがポイントです。簡易的な「机上査定」でおおよその相場感を掴み、細部まで評価する「訪問査定」で実情に即した価格がわかるようになります。媒介契約の前には価格だけでなく、会社の実績や対応の丁寧さも比較して判断してください。
最後に、必要書類の整理や清掃、写真や図面の準備といった「物件アピール」の下地づくりも欠かせません。売出価格の設定では、相場とかけ離れた金額は買主を遠ざけかねませんので、不動産会社のアドバイスを踏まえて、適正な価格を設定するようにしましょう。
売却活動と契約までの流れ
空き家の売却活動を開始してから売買契約を締結するまでのステップについて、誰にとっても分かりやすいよう説明いたします。
まず、不動産会社と媒介契約を結び、売却活動をスタートします。価格や条件を提示して内覧希望者への案内を行い、買主との意向をすり合わせることが重要です。内覧では建物の状態や周辺環境について正直にお伝えし、信頼感を築いてください。そのうえで価格交渉や諸条件の調整を進めます。
次に、買主との価格交渉がまとまりましたら、売買契約の締結となります。このとき、不動産売買契約書に収入印紙を貼り、消印することで印紙税を納める必要があります。売買金額に応じた印紙税額は軽減措置が適用されることもあり、例えば売買価格が1,000万円超5,000万円以下であれば1万円となります(2027年3月31日までの軽減措置)。また、抵当権が設定されている場合は、抵当権抹消のため登記手続きが必要となり、登録免許税として土地・建物それぞれ1,000円ずつかかります。
以下に、売却活動から契約締結までの全国的な流れを表形式で示します。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 売却活動開始 | 媒介契約締結後、内覧対応や広告掲載など実施 | 建物状態や周辺環境の説明を丁寧に |
| 交渉・条件調整 | 買主と価格や引渡し条件をすり合わせ | 柔軟な姿勢で交渉を進めることが重要 |
| 売買契約締結 | 契約書作成・印紙貼付・消印・署名を経て契約締結 | 印紙税や抵当権抹消登記の手続きを忘れずに |
このように、売却活動の進行、交渉の段階、そして契約締結まで一連の流れを踏むことで、トラブルなく安心して売却を進めていただけます。
決済・引き渡しまでの流れ
空き家を売却する際の最後の段階である「決済・引き渡し」は、売主様にとって大変重要なステップです。不動産取引の締めくくりとして、納得のいく取引となるよう、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。
| 項目 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 決済当日の手続き | 残代金の授受、所有権移転登記、抵当権抹消登記などを法務局や金融機関で行います。 | 必要書類や司法書士の手配を事前に確認しておきましょう。 |
| 固定資産税などの精算 | 引き渡し日を基準に固定資産税や都市計画税などを日割りで調整し、売主・買主で清算します。 | 起算日は「1月1日」か「4月1日」で地域により異なるため、契約書に明記が必須です。 |
| 鍵や設備の引き渡し | 鍵類や設備の取扱説明書などを整理し、引き渡し時に確実に手渡しします。 | 残債務や抵当権関係の確認は事前に済ませておきましょう。 |
まず、決済当日は、売買契約時に取り決めた残代金の授受を行い、同時に所有権移転登記や抵当権抹消の手続きを進めます。この際、司法書士の立会いが一般的で、必要となる書類も多岐にわたりますので、不備がないよう前もって確認しておくと安心です。
次に、固定資産税や都市計画税の清算についてですが、これらは法律上の規定ではなく、不動産取引における慣習として「引き渡し日を基準に日割りで精算」するのが一般的です。関東では1月1日を、関西では4月1日を起算日とすることが多いため、どちらを採用するかを契約書に明確に記載しておくことが非常に重要です。精算の具体的な算定方法や金額は、地域の慣行に応じて調整されます。
最後に、鍵や設備の引き渡しについては、物件に残っている鍵や取り扱い説明書など、買主が物件を引き継ぐ上で不可欠なものを整えておくことが大切です。また、住宅ローンの残債や抵当権の抹消が完了しているかどうかも、引き渡し前に必ず確認しておきましょう。
売却後の対応と税務手続き
空き家を売却された後には、税務関係の手続きをきちんと進めておくことが大切です。以下では、特に重要なポイントをわかりやすく整理してご案内いたします。
まず、譲渡所得税の確定申告についてです。売却によって譲渡所得が生じた場合、たとえ譲渡所得が少なく税金が発生しなくても、必ず確定申告を行う必要があります。期限は売却した翌年の2月16日から3月15日までです。また、「相続空き家の3,000万円特別控除」の適用を受ける場合は、譲渡所得から最大で3,000万円を控除することが可能ですが、要件を厳守する必要があります(例:昭和56年5月31日以前に建築された居住用家屋であること、相続後売却まで居住・貸付などに使用していないこと、相続開始から概ね3年以内に譲渡すること、譲渡対価が1億円以下であることなど)。特例の適用は税金を大幅に軽減する大きなメリットがありますが、申告を怠ると特例を受けられません。
次に、利用可能な税制優遇制度についてです。相続空き家の3,000万円特別控除のほかに、「居住用財産の3,000万円特別控除」などの制度もありますが、同一物件に対して同じ年度に両方の特例を受ける場合、控除額の合計が3,000万円を超えないよう制限があります。また、小規模宅地等の特例との併用も可能ですが、それぞれ要件や提出時期が異なるため、適用可否の判断は慎重に行いましょう。
最後に、必要書類の整理と専門家への相談についてです。確定申告に必要な主な書類は以下の通りです。
| 書類名 | 用途 |
|---|---|
| 譲渡所得の内訳書 | 譲渡所得の計算に使用します |
| 被相続人居住用家屋等確認書 | 被相続人居住用だったことを市区町村が確認した書類です |
| 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書 | 耐震適合の要件を満たしている建物かどうかを証明します |
これらの書類は、譲渡年度の確定申告時に必ず添付が必要です。取得には市区町村役場や法務局、検査機関などへの申請が必要な場合もあり、時間を要します。早めの準備が安心です。また、申告内容や制度の利用可否について不安があるときは、税理士などの専門家へご相談されることをおすすめいたします。証憑の整理から申告手続きまで、安心して進めていただけます。
まとめ
空き家の売却は、相続登記や名義変更から始まり、査定依頼や媒介契約の締結、物件の準備といった基本ステップを丁寧に踏むことが大切です。その後、内覧対応や条件調整を経て、買主との交渉や売買契約へ進みます。決済時には所有権移転登記や税金の精算、鍵の引き渡しなどが必要となります。売却後は確定申告や税制優遇制度の活用が重要で、書類整理や専門家への相談が安心につながります。一つひとつの流れを理解し、事前準備を心掛けることで、空き家の売却は確実でスムーズに進められます。
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