
相続した不動産の売却でかかる税金は?利用できる特例や申告時のポイントも解説
相続した不動産を売却する際、「どんな税金がかかるのか」「特例を使えば節税できるのか」といった疑問や不安を感じる方が多いのではないでしょうか。実際、不動産の相続・売却には多様な税金が関係し、無理なく手続きを進めるためには、内容の正確な理解が欠かせません。この記事では、相続した不動産を売却する予定の方に向けて、知っておきたい主な税金や利用可能な特例、注意点まで分かりやすく解説します。節税の大きなポイントも紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

相続した不動産を売却する際にかかる主な税金
相続した不動産を売却する際に、主に以下の3つの税金がかかります。
| 税金の種類 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 印紙税 | 売買契約書に貼る収入印紙の税額 | 契約金額に応じた段階的税率が適用。軽減措置もあり |
| 譲渡所得税・住民税 | 売却益に対して課される所得税と住民税 | 譲渡所得は「譲渡収入-(取得費+譲渡費用)」で算出。所有期間により税率が変わる |
| 登録免許税 | 相続登記の際にかかる税金 | 不動産の固定資産税評価額の0.4%。一定条件で免税措置あり |
まず印紙税についてですが、売買契約書に貼る収入印紙の税額は契約金額に応じて段階的に決まります。相続した実家を売る場合、例えば4,000万円の契約であれば印紙税は1万円となります。契約書を正本とコピーで作成するケースでは、正本にのみ印紙を貼り、コピーで対応することで費用負担が抑えられます(印紙税はコピーには不要)。
次に譲渡所得税と住民税についてですが、まず譲渡所得は「譲渡収入-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」で算出されます。取得費には被相続人が購入した際の金額や購入手数料、相続登記にかかった登録免許税等を含めることができます。また取得費が不明な場合には、譲渡収入の5%を取得費とすることが可能です。譲渡費用には仲介手数料、測量費、印紙代、取り壊し費用などが含まれますが、修理や維持管理費は該当しません。
所有期間に応じて譲渡所得税と住民税の税率は異なります。相続された不動産は被相続人の取得日から所有期間を通算します。譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以下なら短期譲渡所得として、所得税約30%、復興特別所得税約0.63%、住民税9%、合計約39.63%の税率が適用されます。一方5年を超える場合、長期譲渡所得として所得税約15%、復興特別所得税約0.315%、住民税5%、合計約20.315%の税率となります。
最後に登録免許税についてですが、相続登記を行う際には、固定資産税評価額の0.4%が登録免許税としてかかります。ただし、不動産の評価額が100万円以下である場合や、相続登記をせずに亡くなった相続人から引き継いだ場合など、一定条件を満たせば免税になる制度もあります。
利用できる主な節税の特例制度
相続した不動産を売却する際に、税負担を軽減できる代表的な特例制度を3つご紹介します。以下の表で概要を整理しています。
| 特例名 | 内容 | 主な適用条件 |
|---|---|---|
| 空き家特例(3,000万円特別控除) | 被相続人の居住用だった家屋やその敷地の譲渡所得から最大3,000万円を控除します。 | 2016年4月1日~2027年12月31日までの売却。被相続人が居住していた家屋で、売却代金が1億円以下など。相続人が3人以上のときは控除額が2,000万円に。 |
| 居住用財産の特別控除との使い分け | 自己が居住していた財産の売却にも最大3,000万円が控除される制度です。 | 相続空き家特例とは対象が異なり、併用はできないため、有利な方を選択する必要があります。 |
| 取得費加算の特例 | 相続税額のうち、譲渡した財産に対応する金額を取得費に加算できます。 | 相続税が課されていること。相続開始翌日から相続税申告期限翌日以後3年以内に売却すること。 |
まず、「空き家特例」は、相続した家屋や敷地を売却する際に譲渡所得から最大3,000万円(相続人が複数人の場合は2,000万円)を差し引ける制度です。これは令和9年(2027年)12月31日までの期間限定の制度であり、売却代金の上限や建築時期、被相続人の居住実態など一定の要件が必要です。さらに耐震工事や取壊しについて、令和6年以降は買主側でも対応可能となり、適用しやすくなりました。
次に、「自己居住用財産の特別控除」は、自分が居住していた住宅の売却に対し適用される控除で、こちらも最大3,000万円が譲渡所得から控除されます。しかし、空き家特例との併用はできず、どちらを使うかは状況や控除額などを踏まえて判断する必要があります。
最後に、「取得費加算の特例」は、相続税が課された不動産を売却する際、相続税のうち該当する不動産に対応する部分を取得費に加算できる制度です。この制度は、相続税の申告期限の翌日から3年以内に譲渡することが条件で、取得費の増加による節税効果が期待できます。
これらの特例は、条件や適用期限などに違いがありますので、ご自身のケースに沿って、どの制度を選ぶのが有利かを慎重に検討されることをおすすめいたします。
所有期間と税率の影響、および軽減税率特例の活用
相続した不動産を売却する際、税率を決める「所有期間」の計算には特別なルールがあります。まず注意いただきたいのは、所有期間の起算点は相続された日ではなく、被相続人(亡くなった方)が不動産を取得した日からとなることです。たとえ相続後すぐに売却しても、長期譲渡所得(20.315%)が適用されることが一般的です 。ただし、被相続人が取得した日から相続発生までの期間が5年に満たない場合、その後すぐに売却すると短期譲渡所得として扱われ、徴税率が高くなる可能性がありますのでご注意ください 。
次に、所有期間が10年を超える場合に適用される「軽減税率特例」についてご説明します。これは居住用の不動産を売却する際、所有期間が売却年の1月1日時点で10年を超えていれば、譲渡所得6,000万円以下の部分に対して税率が軽減される制度です 。具体的には所得税が10.21%、住民税が4%となり、合計14.21%の税率で課税されます 。
たとえば譲渡所得が4,000万円の場合、通常の長期譲渡所得では税率20.315%によって約813万円の税金ですが、軽減税率特例を利用すると約568万円の軽減になります。つまり、おおよそ245万円の節税効果が見込めます 。
| 所有期間条件 | 適用税率(例・所得税+住民税) | 節税メリット |
|---|---|---|
| 被相続人からの取得により長期譲渡(5年超) | 所得税15%+住民税5%=20.315% | 標準的な税率 |
| 所有期間10年超(軽減税率特例) | 所得税10.21%+住民税4%=14.21% | 譲渡所得6,000万円以下で大幅軽減 |
| 短期譲渡所得(5年以下) | 所得税30%+住民税9%=39.63% | 税率が非常に高く、節税に不利 |
このように、ご自身の所有期間がどの区分に該当するかをしっかり確認し、条件を満たす場合は軽減税率の特例を活用することが、税負担を抑える第一歩となります。
確定申告と申請注意点、活用に向けた準備
相続した不動産を売却する際には、譲渡所得が発生する場合はもちろん、たとえ税額がゼロになる特例を利用するケースでも、必ず翌年の確定申告が必要です。その期限は、売却した年の翌年2月16日から3月15日までです。申告が遅れると無申告加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性がありますので、期日は厳守してください。なお、申告書は税務署への持参・郵送、あるいはマイナンバーカードを用いてe‑Taxでの提出も可能です。利用する場合は早めの準備をおすすめします。
特例を受ける場合、併用できる制度とできない制度がある点にも注意が必要です。たとえば、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る3,000万円特別控除」と「相続税の取得費加算の特例」は、いずれも相続開始から3年以内の売却が前提ですが、併用はできず、どちらか一方を選んで申請する必要があります。その選択は、売却価格や取得費などを踏まえ、税額がより軽減される方を慎重に判断することが重要です。
節税の流れとポイントを整理した表を以下に示します。売却のタイミングや制度選択、書類準備の順序を確認しておきましょう。
| ステップ | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1.売却時期の検討 | 相続開始から3年以内に売却することで、特例適用が可能になる場合がある | 特例ごとの要件や耐震基準などを事前に確認 |
| 2.特例の選択 | 3,000万円控除か取得費加算のどちらか有利な方を選ぶ | 併用は不可。税額比較の上、選択する |
| 3.確定申告の準備 | 必要書類を揃え、確定申告書へ入力・提出 | 売買契約書、譲渡所得内訳書、登記事項証明書など申請用に必須 |
このように、売却のタイミングや特例の活用方針、書類の準備を整えておくことが、節税に向けた確定申告の成功の鍵となります。不安があれば、司法書士や税理士に相談して、万全な準備を行うことをおすすめいたします。
まとめ
相続した不動産を売却する際には、印紙税や譲渡所得税、登録免許税など複数の税金が発生しますが、条件次第でさまざまな特例を活用することができます。特に、3,000万円特別控除や取得費加算の特例、所有期間による軽減税率などを正しく適用することで、税負担を大きく減らすことが可能です。特例には細かな適用条件や申請手続きがあり、確定申告時には必要書類の準備や時期などの注意も求められます。相続された方が不安を感じやすい税金の対策も、基本をおさえ事前に流れを確認することで、安心して売却と申告の手続きが行えます。
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